不動産クラウドファンディングを基本に、投資についてのお話
お金と資産形成について、休憩時間や通勤時間の暇つぶしになってタメになるコラム
この記事の要点
結論
想定利回りは「年利」表示です。利回り5%・運用期間6ヶ月なら、受け取れる分配金は投資額の5%ではなく約2.5%分。さらに源泉徴収20.42%が引かれた金額が手取りになります。「年利・期間・税金」の3点セットで見るのが、利回りの正しい読み方です。
この記事のポイント
・想定利回りは年利換算。100万円・利回り5%・6ヶ月運用なら分配金は25,000円(税引前)
・利回りの源泉には「インカム型(賃料)」と「キャピタル型(売却益)」があり、リスクの質が違う
・手取りは源泉徴収20.42%を引いた額。表面5%の実質は約3.98%
こんな人におすすめ:ファンド詳細の利回り表示を正しく理解したい方、「思ったより分配金が少ない」と感じたことがある方。
読み終わると:想定利回りから実際の手取り額を自分で計算でき、利回りの数字に惑わされない案件の見方が身につきます。
「想定利回り5.0%」
ファンド詳細ページで、真っ先に目に入る数字です。でも、あなたは、この「5%」の意味を正確に説明できますか?
「100万円投資したら、5万円もらえるってことでしょ?」
実はこれ、半分正解で、半分間違いです。運用期間が1年ならその通りですが、6ヶ月の案件なら受け取れるのは約2.5万円。
さらに税金が引かれて、手取りは約2万円になります。
「えっ、そうなの?」と思った方、大丈夫です。
今回は、不動産クラウドファンディングの想定利回りの正しい読み方を、計算例つきでゼロから解説します。
読み終わる頃には、どんなファンドでも「実際いくらもらえるか」を自分で計算できるようになります。
まず、いちばん誤解の多いポイントからいきましょう。
不動産クラウドファンディングの想定利回りは、年利(1年あたりの利回り)で表示されるのが基本です。
だから、実際に受け取れる分配金は、運用期間に応じて按分されます。計算式は次の通りです。
分配金(税引前)= 投資額 × 想定利回り × 運用期間(月数)÷ 12 |
具体的に、100万円を想定利回り5%(年利)のファンドに投資した場合の受取額を、期間別に見てみましょう。
運用期間 | 分配金(税引前) | 手取り(源泉20.42%後) |
|---|---|---|
6ヶ月 | 25,000円 | 約19,895円 |
12ヶ月 | 50,000円 | 約39,790円 |
18ヶ月 | 75,000円 | 約59,685円 |
同じ「利回り5%」でも、期間によって受け取る配当金額はこれだけ違います。
「利回り × 期間」のセットで見ること。これが利回りの理解を深めるための第一歩です。
100万円投資するなら、どちらの分配金が多いでしょうか。あなたはすぐに答えられますか??
数字の大きい「6%」に目を奪われがちですが、受取額は5%・1年のほうが3倍以上です。
もちろん短期案件には資金を早く回収できる利点がありますが、「利回りの数字=もらえる金額」ではないことが、よくわかる例です。
次に、その利回りがどこから生まれるのかを見ていきます。ここは案件のリスクを見抜くうえで、とても重要です。
インカム型は、物件の賃料収入を源泉とするタイプです。
「読みやすく、堅実」なのがインカム型です。ここにマスターリースが加われば、安定感はさらに増します。
インカム型のファンドは、資産を安定的に運用したいという方に向いています。
キャピタル型は、物件の売却益(キャピタルゲイン)を源泉とするタイプです。
「利回りは高いが、売却というイベントに結果が懸かっている」のがキャピタル型です。
実際の案件では「運用中は賃料収入、最後に売却」というハイブリット型も多くあります。
大切なのは、ファンド詳細ページで「分配金の原資は何か」を確認する習慣です。同じ利回り6%でも、インカム中心かキャピタル頼みかで、リスクの質はまったく違います。
数字の高さより、まず中身をチェックする。ここを忘れないでください。
想定利回りの「想定」という言葉にも、きちんと向き合っておきましょう。
想定利回りは、事業計画に基づく見込みの数字であり、保証された数字ではありません。
空室の発生や賃料の下落、売却価格が想定を下回ることも十分考えられます。こうした場合、分配金が想定を下回ったり、元本に影響が出たりする可能性もあります。
ここで思い出してほしいのが優先劣後構造です。
多くの案件では、事業者も劣後出資者として出資しており、収益が想定を下回った場合、まず事業者の取り分から損失を負担します。
つまり、劣後出資比率(目安10〜20%)が厚いほど、想定利回りの「確からしさ」を支えるクッションが厚いということです。
「想定利回り」と「劣後出資比率」は、必ずセットで見ること。これが、数字に強い投資家の見方です。
最後に、意外と見落とされる「税金」の話について説明します。
不動産クラウドファンディングの分配金は、支払い時に20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)が源泉徴収されます。
先ほどの100万円・利回り5%の例では、6ヶ月運用なら分配金25,000円から源泉徴収5,105円が引かれ、手取りは19,895円。12ヶ月運用なら50,000円から10,210円が引かれ、手取りは39,790円になります。
税引き後の「実質利回り」に換算すると、こうなります。
表面利回り(年利) | 税引き後の実質利回り |
|---|---|
4% | 約3.18% |
5% | 約3.98% |
6% | 約4.77% |
8% | 約6.37% |
ざっくり「表面利回り × 0.8」が手取りベースの利回り、と覚えておくと便利です。
それでも普通預金金利(0.1〜0.2%程度)とは大きな差があります。「税引き後でどれだけ増えるか」で考える習慣をつけましょう。
Q. 想定利回りより多く分配されることはありますか?
A. 案件によっては、運用成果が想定を上回った場合に分配金が上乗せされる設計のものもあります。ただし一般的には、想定利回りを基準とした分配が行われます。詳細は各ファンドの契約内容をご確認ください。
Q. 「利回り」と「利率」は同じ意味ですか?
A. 日常的には同じように使われますが、不動産クラウドファンディングの文脈では「想定利回り=投資額に対する年間収益の割合(年利)」と理解しておけば大丈夫です。運用期間が1年でない場合は、期間で按分される点だけ注意してください。
Q. 分配金はいつ受け取れますか?
A. 案件によって異なります。運用中に定期的(毎月・数ヶ月ごと等)に分配されるタイプと、運用終了時に元本とあわせて一括で受け取るタイプがあります。同じ利回りでも受け取りのリズムが違うので、ファンド詳細の「分配時期」も確認しておきましょう。
Q. 高利回り案件は避けるべきですか?
A. 一概に避けるべきとは言えませんが、「なぜ高いのか」の説明を必ず確認しましょう。キャピタル型で市況次第、劣後出資が薄い、といった理由があるなら、そのリスクを取れるか自問することが大切です。根拠が見えない高利回りには慎重になるべきです。
想定利回りの正しい見方を、おさらいします。
この4つを押さえれば、あなたはもう利回りの数字に振り回されません。「この案件、実際いくらもらえるか」を自分で計算することができます。それだけで、ファンド選びの解像度は劇的に上がります。
トモタクでは、各ファンドの想定利回り・運用期間・劣後出資比率・分配の仕組みを詳細ページで開示しています。
今日学んだ計算式を使って、ぜひ実際の案件でシミュレーションしてみてください。
※本記事は、執筆時点(2026年8月)の情報をもとに作成しています。計算例は理解のための概算であり、実際の分配金・税額は案件・個人の状況により異なります。投資判断はご自身の責任のもと、最新の情報をご確認ください。